· 英語読書会

2016年9月の英語読書会

2016年9月の英語読書会では、Selma Lagerlöfの「Jerusalem Book One The IngmarssonsⅣ」を勉強しました。愛し合っているわけでもないのに親の都合で結婚する羽目になった二人。不作で結婚式に必要な費用が出せないので結婚式を延期することにしたイングマール。そのため結婚式前に子供を産む羽目になったブリタ。ブリタは逆上して産んだ子供を殺してしまった。3年の後、経済的にはゆとりのできたイングマール。しかし、罪を犯したブリタを受け入れるには非常な決心が必要だ。本人が納得したとしても、周りの人々はそうは見ないだろう。その冷ややかな目から一生逃れることはできないのだ。

次回は10月2日(日)14:00~「Book Two At the Schoolmaster’s」を読みます。

時代は下って、宗教界にも新しい動きが出てきます。新旧文化の接点ではいつも問題が発生します。

会の進行は特に当番を決めていませんので、どなたでも、いつからでも気軽に参加できます。

2人のnative speakerがサポートしてくださいます。テキストが入手し難い状況にあり、ご迷惑をおかけしておりますが、kindle版、iBook版がご利用いただけます。ページレイアウトがちょっと違うという難点はありますが、辞書機能や、ネット検索機能も利用できますのでなかなか便利と思います。

イングマールは町についた。そして、大きな刑務所の建物のほうにゆっくり歩いて行った。刑務所は公園を見下ろす美しい丘の上に建てられている。彼はうつむいたまま、まるで体が不自由な老人のように足を引きずって歩いていた。今日は、普段着ている華やかな農民服ではなく、黒のスーツと糊のきいたワイシャツ姿であったが、シャツはすでによれよれになっている。彼は、気持ちは厳粛を装っていたが、心の中は気乗りのしない不安でいっぱいだった。

砂利を敷き詰めた刑務所の前庭に来ると、イングマールは木陰にたたずみ、刑務所のゲートをじっと見つめていた。「お父さんは、僕の嫁を刑務所から連れ出すために僕をここに来させた。しかし、僕はあんまりうれしくないのだ。本当は、花嫁衣装に包まれ、頭にはブライダルクラウンを被って笑顔の彼女が、母親に連れられて栄光の門をくぐって来て、花婿に引き渡される。そして、祝福するたくさんの人たちを従えて、花で綺麗に飾られた馬車に乗って教会に行く、そういう姿が見たかったんだ。」

ゲートが数回開いた。そして最後にブリタが出てきた。ゲートが開いたとき、イングマールは胸が締め付けられる思いだった。「彼女だ。」彼は目を落とした。彼は痙攣したように動くことができなかった。しばらくして我を取り戻して、目を上げたとき、彼女は門の外の階段のところに立っていた。彼女はしばらくそこにじっと立っていた。頭に被っていたショールを後ろにやると、その澄んだ大きな目で周りの景色を見渡した。刑務所は丘の上に立っていたので、町の向こうに広がっている森や丘を一望することができた。彼女は突然、何か見えない力でゆすられたのを感じたので、手で顔を覆って石段に座り込んだ。彼女のすすりなく声はイングマールのいるところまで聞こえてきた。彼は急いで彼女の近くまで行ったが、彼女はひどく泣いていたので、彼が来たのに気づかなかったようだ。かなりの時が立って後、ようやく彼は言った。「もう泣くのはおやめ、ブリタ。」ブリタは、彼がどんな思いでここに来たかを思い、うれしさのあまり、彼の首に抱き着いて、また泣いた。

ブリタがそれほどまでに喜ぶ姿を見てイングマールは胸の高まるのを感じた。そして、感激のあまり言った、「ブリタ、君はそれほど僕が来るのを待っていてくれたんだ。」ブリタは言った、「あなたにはどんなに謝らなくちゃいけないと思っていたことか。」歩きながらイングマールは言った、「レーヴベルグに寄って来たんだ。だけど君のトランクは大きすぎて僕の馬車には載せられなかった。だから、あとで別の馬車でとりにいくよ。」ブリタはちょっとびっくりして立ち止まった。そして初めて彼が自分をイングマールの家に連れて行こうとしていることを知った。ブリタ:「今日の父からの手紙では、あなたも私がアメリカに行くのがいいと言っていると書いてありましたけど。」イングマール:「別の選択肢があってもいいだろう。君が僕と一緒に家に戻りたいと思っているかどうかわからなかったんだから。」

ブリタは、イングマールが自分の出てくるのが待ちどおしかったとは一言も言わないのに気付いた。それは彼女と再び一緒になることを必ずしも望んでいないからに違いない。そう思うと、またイライラが募ってきた。その時、背後で何者かがささやいた:「自分はアメリカに行くと言いなさい。それが彼に対する一番のサービスだ。さあ、言いなさい。はっきり言いなさい。」その声が語り終わらないうちに、また別の考えが浮かびつぶやいた:「わたしはアメリカに行けるほど強い人間じゃないわ。アメリカに行ったら死ぬほど働かなくちゃならないらしいから。」

彼女は今朝、刑務所のチャプレンに、良い女性に生まれ変わって娑婆に戻るんだと告白したばかりなのに、もう弱音を吐いている自分を恥じた。自分自身に失望して、どんな言葉で言い返したらいいか思いつかず、しばらく沈黙して歩いた。そして、何か話そうとすると、もし彼がまだ自分のことを気にかけてくれているなら、彼を拒絶するなんてひどく恩知らずのことだという思いに戸惑った。「ああ、彼の気持ちが全く分からないわ。」彼女は立ち止まって壁に寄り掛かった。「ここは人がいっぱいいて、騒音がうるさくて気が狂いそう。」彼は手を差し出し、彼女の手を取って歩き出した。そして思った:「まるで恋人どうしみたい。」一方、イングマールは、このまま家に帰ったらどうなるんだろう、母やみんなはどう思うだろうと思いをめぐらせているのだ。

レーヴベルグについたときイングマールは、もう少し先まで行きたいと言った。ブリタは思った:「今こそ彼に、自分は一緒には行かないと告げる時だ。」しかし、もう一人の自分は祈っていた:「神様、教えてください。彼は単にあわれみで迎えに来てくれたのでしょうか。」イングマールの馬車は、新しく塗り替えて、ぴかぴかに磨き上げられ、座席には新しいカバーがかけられ、枯れかかってはいるが野の花のブーケが飾られていた。それを見て彼女は、イングマールは自分のことを好きなんだと確信した。彼女は何も言わないのが一番いいと思った。そうしないとせっかく彼が一生懸命彼女の為につくしてくれているのに、恩を仇で返すことになると思ったからである。

二人はしばらくの間言葉を交わすこともなく馬車を進めていった。沈黙を破るため、彼女は家事のことなどをいろいろと聞き始めた。その一つ一つの質問に、イングマールは、あの人はきっとこういうに違いない、この人はそのことで自分を笑いものにするに違いないと思いを巡らせるのであった。彼はブリタの質問に対して「ああ」とあ「うん」とか言うだけだった。ブリタはまた彼に言った、「お願いだから引き返して、あなたは私のことを愛してなんかいないんでしょう。ただ可哀想だから助けてくれているだけなんでしょう。」彼女は問いかけるのをやめて、二人の間にはまた長い沈黙が続いた。

最初の停泊地についたとき、そこが今日の宿であったが、そこには焼きたてのビスケットとコーヒーが用意されていた。テーブルにはいつもよりちょっと豪華な花が飾ってあった。それは明らかに彼があつらえたものだとわかる。でもそれはなぜ?単なる親切心と哀れみの気持ち?こんなことをして彼は昨日は幸福だったの?そして、今日私が刑務所から出てくる姿を見て失望したの?明日になったらこんなこと忘れてまたなんともなくなるの?悲しみと後悔の念がブリタの気持ちをやわらげた。彼をこれ以上不幸にはさせまいと思った。たぶん、このまま行ったら彼は・・・

彼等はそこで1泊し、翌日朝早く宿を発った。10時には教区の教会が見えるところまで来た。ベルの音が聞こえる中を教会に続く道を進んでいくと、そこはもう人でいっぱいだった。ブリタは本能的に手を合わせて叫んだ:「ああ、今日は日曜日だったんだ。」教会へ行って神様を賛美できるんだと思うと、我を忘れてしまった。懐かしい教会で新しい生活を始めたいと思っていたからだ。「教会に行けてうれしいわ。」イングマールにとって彼女と一緒に教会に行くことがどれほど気が重いことかなどということは、ブリタは想像もしていなかった。彼女は感謝の気持ちでいっぱいであった。だが、イングマールのほうは、彼女と一緒に教会に行って、周りの人から好奇の目で見られ、陰口をささやかれるのに直面する勇気はとても持てないと思った。しかしすぐに「そんなことはいずれすぐに直面しなきゃいけないことだ。それを先延ばししても事態は変わらない。」と思い直した。

彼は馬車を立て直して、教会に乗り入れた。礼拝はまだ始まっていなかったので、たくさんの人が芝生の上や、石垣の上に座って、集まってくる人を眺めていた。イングマールとブリタを見た瞬間、彼らは互いにそっと指さし、ささやきあった。イングマールはブリタの方を見た。彼女は手を合わせて祈っていて、周囲の事には全く無関心の様子であった。イングマールは周りの人の様子がとても気になっていた。群衆は先を争って馬車の後を追いかけ、わが目を確かめようとした。イングマールが自分の子を殺めたブリタを連れて神の家に来るなんて信じられないことだった。イングマール:「何ということだ。全く耐えられないよ。ブリタ、早く中に入っろう。」ここに来たのは、ただ礼拝に来たかったのであって、人に会うために来たんじゃない。

イングマールは、馬を解いて餌を与えた。多くの目が彼に注がれたが、誰一人話しかけてくるものはいない。彼が会堂に入ったとき、多くの人はすでに座席についており、始めの讃美歌が始まっていた。真中の通路を入って行き、女性達の座っている席を見回した。ほとんどの席は満員であったが、ブリタの周りだけ誰も座っていなかったので、それがブリタであることはすぐに分かった。誰も彼女のそばには座りたくないということだ。彼は行ってブリタの横に座った。彼女はこの席にどうしてほか人が誰も来なかったのか気が付いた。そして、たった今まで浸っていた深く信仰する気持ちが払いのけられて、暗い失望に陥った。「これからどうなってしまうんだろう。彼と一緒にここに来るんじゃなかった。」彼女の目から涙があふれてきた。打ちのめされまいと目の前にある古ぼけた祈祷書をとってページを開いた。しかし、あふれる涙で字を読むこともできなかった。と、突然何か光るものが目に留まった。それはページの間に挟まっていた赤いハートのついた栞だった。彼女はそれを取りだし、イングマールのほうに差し出した。彼はそれを手の中に包み込んでそっと見たが、そのまま床にぽいと捨てた。ブリタは祈祷書で顔を覆って泣いた。

牧師が説教壇から降りるや否や彼らは外に出た。イングマールはブリタに手伝わせて急いで馬を馬車につないだ。祝祷が唱えられ礼拝が終わろうとしているころにはもうブリタとイングマールは教会を離れていた。二人は同じ考えに到達したようだった。すなわち、このような罪を犯した者は普通の人と一緒に生活はできないということだ。二人は教会に行くことで罪の懺悔になると思っていた。だけどそれには耐えられそうもなかった。困惑の中で、ブリタはイングマール農場の近くまできた。農場は家々が塗りなおされて赤く明るく輝いていた。彼女は、イングマールが結婚する年には家を塗りなおすのだと言っていたのを思い出した。あの時彼は、お金がないという理由で結婚式が延期された。ブリタは、ここにきて初めて、イングマールがいろいろな事を全て正しく行おうとしていたのだと分かった。しかし今や彼にとってそれは非常に難しいことになってしまった。

農場についたときはもう夕食の時間であった。母親のマーサは、威厳を強調するかのように、特別上等な服を着て戸口に立っていた。イングマールは到着するとすぐに馬車から飛び降りた。しかし、ブリタは座席に座ったままだった。彼はブリタのそばに行き、ひざ掛けを外した。イングマール:「降りないのかい?」ブリタ:「降りないわ。」そう言って手で顔を覆って泣いた。ブリタ:「私、二度とここに来るべきじゃなかったわ。」イングマール:「降りてきてくれよ。」ブリタ:「私を町に戻して。私はあなたにふさわしくないわ。」なかなか降りてこないブリタに業を煮やしたマーサは言った:「彼女の言うことはもっともだよ。彼女を返してやりな。そうでなかったら私が出ていくよ。そんな女と同じ屋根の下に住みたくないから。」ブリタはうめくように言った:「後生だから私を自由にして。」

「畜生め!」イングマールは馬を返して馬車に飛び乗った。そして森の中の間道に入って行った。その時、後ろから郵便配達人に呼び止められた。彼は手紙を受け取ってポケットに突っ込んでさらに馬を走らせた。表通りから見えないところまで来たところで馬を止めて手紙を取り出した。とっさにブリタは手を伸ばして彼の腕を抑え込んだ:「読まないで。」イングマール:「どうして?」ブリタ:「私が書いたの。」イングマール:「だったら何が書いてあるか教えてよ。」ブリタ:「いいえ、教えられないわ。それはチャプレンに言われて書いたものなの。彼は私が船に乗るまでそれを送らないと約束したのに、送るのが早すぎたわ。私が船に乗るまで読んじゃだめよ。」イングマールは彼女の制止を振り切って手紙を読もうとした。ブリタ:「そこに書いてあることは嘘だわ。チャプレンがそう書くように言ったの。わたし、あなたの事、愛してなんかいないわ、イングマール。」イングマールはびっくりして彼女を見た。彼女は黙った。刑務所で習った謙虚になる訓練が役立った。結局彼女もそれ以上取り乱しはしなかった。イングマールはその手紙に困惑していたが、突然苦痛のうめきを挙げて手紙をくしゃくしゃにした:「もうわかんないよ。頭の中がぐしゃぐしゃだ。」イングマールはブリタのところに近寄って彼女の腕をつかんだ。イングマール:「手紙の中には、本当に僕のことを愛してるって書いてあるんだね?」彼の声の調子はひどく乱暴で、顔もこわばっていた。ブリタは黙っていた。イングマールはひどく怒った調子でまた聞いた:「その手紙の中には、僕のことを愛してるって書いてあるんだね。」イングマールは顔を引きつらせて、彼女の手を振りほどいた。「この大うそつきが。」ブリタは真顔になってはっきり言った:「私が刑務所を出る前は、毎日毎晩あなたに会えるように神様に祈ったわ。」イングマール:「それでどこに行くって言うんだい。」ブリタ:「もちろんアメリカよ。」イングマール:「馬鹿言っちゃいけないよ。」

イングマールはブリタを離れて、森の方へよろよろと歩いて行って土の上に身を投げた。今度は彼が泣く番だった。ブリタも彼の横に座った。彼女はうれしくて叫びたい気持ちだった。ブリタ:「可愛いイングマールちゃん。」イングマール:「だけど僕のこと醜いと思ってるんだろう。」ブリタ:「愛してるわよ。」イングマールは彼女の手を払いのけた。ブリタ:「3年前、法廷であなた、何て言ったか覚えてる?あの時私、あなたに対する見方が変わったわ。結婚する気があったの?」イングマール:「覚えているよ。」ブリタ:「あれ以来私はあなたの事が好きになったわ。あんなふうに言える人がいるなんて考えたこともなかった。私があんなことをした後で、あなたがあんなふうに言うなんて信じられなかった。あの日あなたはほかの誰よりも賢くいい男に見えたわ。そして、この人なら一緒に暮らしていけると思って、あなたのことをすごく愛しいと思ったわ。だからあなたが迎えに来てくれることを当たり前だと思っていた。だけど、 時が経つにつれてそんなこと考えちゃいけないって思うようになった。」イングマール:「じゃ、どうして手紙をくれなかったの。」ブリタ:「だって、私はあんなことをやったんだもの、あなたにラブレターなんか書けるわけはないでしょう。刑務所の最後の日は、チャプレンが書かなきゃダメというから書いただけよ。手紙を彼に預けたとき、彼は私がずっと遠くに行ってから送ると約束したのに。」

イングマールはため息をついた:「君を行かせてしまうところだったよ。」ブリタ:「あなたは義理で来ただけじゃないの。」イングマール:「僕は君のことを好きじゃないんだよ。」ブリタ:「知ってるわよ。」イングマール:「君がアメリカに行くって聞いて、ほっとしたんだ。」ブリタ:「父はあなたが喜んでいたと手紙に書いてあったわ。」イングマール:「母を見ていると、君のような嫁を受け入れてくれと言い出しにくくて。僕は君のことで人に気付かれないようにするために、いろいろ気を使わなければならなかったんだよ。」ブリタ:「私の事、愛してないの?イングマール。」イングマール:「全然。」ブリタ:「家に帰る途中もずっと?」イングマール:「いいや、一瞬たりとも。君とは話が合わなかったから。」ブリタ:「いつから変わったの?」イングマール:「君の手紙を受け取った時からだ。」ブリタ:「あなたの愛は終わったわ。でも私のは始まったばかりだってことを知られたくなかったの。」イングマールは苦笑いした。ブリタ:「何がおかしいの?」イングマール:「僕たちがどんな気持ちで教会や、イングマール農場から逃げてきたかを考えていたんだ。」ブリタ:「それがそんなにおかしいの?」イングマール:「おかしいよ。もし僕たちが浮浪者みたいに道端に投げ出されるとしたら、天にいる父は何というだろうか?」ブリタ:「笑うのは勝手よ。だけどこれは違うわ、ありえない。」

イングマール:「そんなことはないさ。僕は今から、君のこと以外は何も気にしないぞ。」

ブリタはこれを聞いて、涙があふれてきた。そして、彼女がどんなにしばしばイングマールのことを思っていたか、そして、どんなに深くそれを望んでいたかを何度も何度も話すのだった。イングマールの心は子守唄を聞く子供のように、だんだん安らかになってきた。それはブリタの期待と、まったく違うものだった。彼女はもし彼とか、自分の母親とか、彼女を慰めに来る人すべてに、自分の罪がどんなに重いものであって、それゆえ自分はいかに価値のない人間であるかを話して聞かせるつもりであった。しかし、そんなことを話すことは許されなかったのだ。

突然イングマールは穏やかな調子で言った:「これが僕に言いたかったことだね。君はいつもこのことを考えていたんだ。それが、いろんなこととごちゃ混ぜになってしまったんだ。これからはそれを1人で背負うんでなく、2人で背負えるように話し合うんだ。」イングマールはブリタの目を覗き込んだ。その眼は狩り立てられた小鹿の目のようにおどおどしていたが、話しているうちに落ち着いてきた。話し終わったときイングマールは言った:「気持ちが晴れたようだね。」ブリタ:「私の心から大きな重荷が取れたみたい。」イングマール:「それはきっと2人で担うようになったからだよ。それじゃ君はもうどっかへ行ってしまおうとは思わなくなっただろう。」ブリタ:「そうね、本当にここが好きになったわ。」イングマール:「それじゃ家に帰ろう。」ブリタ:「いいえ、やっぱり怖いわ。」イングマールは作り笑いをして嘘を言った:「落ち着いて話せば、母は怖くないよ。」ブリタ:「いいえイングマール。私にはあのお母さんを家から追い出すことなんかできないわ。やっぱりアメリカに行くしかないわ。」イングマールは不思議な笑いを浮かべて言った:「いいかい、君は恐れることなんかないんだよ。いつも助けてくれる人がいるんだから。」ブリタ:「誰?」イングマール:「僕のお父さんだよ。彼はいつも正しい方に導いてくれるんだから。」

誰かが森の小道をやってきた。カイザだった。カイザ:「ここにいたの。農場の人はみんなであなたたちを探しているよ。あんなに早く教会から出ちゃったもんだから、あんたたちに会う暇もなかったよ。だからブリタに挨拶しようと思って農場に行ったのさ。そしたら何と司祭様が来られていて、大声でマーサを呼んでいて、ご挨拶するひまもなかったよ。司祭様はマーサを見つけると、大声で言ったよ:『マーサよ、あなたはイングマールを誇りに思いなさい。これで彼もイングマール一族の者であることがはっきり証明されたよ。これからは彼のことを“大イングマール”と呼ぼう。』」カイザ:「マーサはあんまり人としゃべらない人だから、ただそこに立ってショールを結んでいるばかりだった。そして、『なんのことだい。』と小声で聞いた。司祭様は、『信じられるかいマーサ、彼はブリタを教会に連れてきたんだよ。彼はそのことで一生尊敬されるだろう。彼らが礼拝堂に座っているのを見たとき、わたしゃもう礼拝どころじゃなかったよ。彼らはそこにいるだけでわたしのどんな説教よりも素晴らしい信仰の証しだ。彼のお父さんがそうだったように、イングマールも我々の信仰の導き手になるだろう。』マーサは言ったよ『司祭様は素晴らしいニュースを持ってきてくださった。』」イングマールは勇んで聞いた:「お母さんは本当にそういったのかい?」カイザ:「本当さ、だから、何人かの人をやってあんたたちを探してるよ。」カイザの話はまだまだ続いたが、イングマールはもう彼女の言葉は聞いていなかった。彼の思いは遠くはるかにあった。

イングマールはリビングに来た。そこにはお父さんが、その先祖のイングマール一族と座っていた。お父さんは僕の方に近づいてきて言った。「やあ、来たか大イングマール。これでお前も無事に結婚できるね。後のことは自然に良くなるよ。」「でもお父さん、あなたがそばにいて助けてくれなかったらうまくいかなかったでしょう。」「それはいいんだ。イングマール家の者にとって神様の道を歩むことだけが大事なんだ。」

「愛する」という言葉。イングマールは誠意があればそんな言葉はいらないと思っていたのでしょうか。「愛してる」という甘い言葉をひたすら待ち望んでいたブリタはいつもそこで挫折した。窮地に立たされた二人を救ったのは、イングマールの「僕は今から、君のこと以外は何も気にしないぞ。」という決意。しかしそれだけではまだ確信を持てたわけではなかった。それを確固たるものにしたのは司祭の「どんな説教よりも素晴らしい信仰の証しだ。」という証言だった。

(by Hide Inoue)

All Posts
×

Almost done…

We just sent you an email. Please click the link in the email to confirm your subscription!

OKSubscriptions powered by Strikingly